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大阪物語(第1部)

〜 経歴書にウソは無い 〜




一つのプロジェクトを終え、安堵と共に穏やかな生活が始まった。
社内でも特に大きな仕事は無く、次の仕事のための勉強をコツコツと続ける、
という感じのマッタリとした時が流れていく。

こんなもんでいいのかな?

などと感じてしまった自分はやはり世間知らずであった。
そんなもんでいいはずはないのだ。

ふいに自分の周りがバタバタとしはじめる。
なんだかよくよく聞いていると

「大阪」

だとか

「面接」

とか言っているようだ。
お客の注文を受けて開発をするだけでは売り上げが安定しない。
だから開発者の手が空いているときは別の会社に派遣に行かせるということが多いようだ。
なるほどオレは大阪に行かされるわけか。
今は少し離れてしまったが自分の生まれ育ったところだ。
通勤がつらそうだけど会社に仕事がないのならそれも仕方ないだろう。

従順なオレは半ば納得していたのだ。
会社のために、自分のために、マグロ漁船にでも乗ってやるつもりだった。
そして、身を粉にして働いたのちの凱旋帰国。
社員の皆へお土産として両手いっぱいの(?)マグロ。
拍手の渦の中、温かく迎えられる場面を想像した。

そう、悲しみの中家族を日本に残し一人遠洋漁業に旅立つお父さんの心境だ。
寂しい、つらい、が、不満はない。
自分の大事なもの、守るべきもののためにカミカゼとなるのだ。

程なくしてオレは営業の方に呼び出された。
大丈夫、わかってますよ、行きますとも。
全てを悟りきっていたオレに第一声が投げかけられた。

営:「ukkyo君、明日大阪に面接いける?」

明日?!

ukkyo:「は・・はい、大丈夫です。」

営:「もし、面接で通ったら来週から大阪行ってもらえます?」

来週?!
行ってもらえます?って面接の日取りまで決まってんだからどうせいまさら断れないのでは?

ukkyo:「・・・・・・・・・・はい。」

我慢。
我慢だ。

社会人、目標、責任、野望、新米、出世、飲み会、出会い。
ありとあらゆる自分をなだめられそうな単語を頭の中に乱れ打つ。


そしてオレは本音で言えば望んでもいない大阪へ面接にいった。
だがそれでもまだ心はカミカゼ特攻隊、自己犠牲のバント職人のつもりだったのに・・・・。
そこでこのような思いもよらない辱めを受けることになろうとは!

それは営業の人がオレの履歴書を面接官に提出したときのことだ。



履歴書


経歴:

Java開発(社内掲示板作成)
制御機器操作プログラム

ウェイター
塾講師
バーテン
たこ焼き屋



はい、これホント。
ウソじゃありません。
憶えているだろうか?
以前いざ面接(前編)で社長がオレの履歴書に書き足していた内容がそっくりそのまま記述されているのだ。

色白のオレの顔がまっピンクに染まっていく中、面接官の言葉が。

今現在人手が足りないからもう来てもらうのはほぼ決定していること。
2〜3年来るつもりででやって欲しいとのこと。

などが伝えられた。
もはや翼をもがれた鳥のようなオレは

「はい・・・・はい・・・。」

とうなずくだけだった。

なお、今回の「今日の一言」は履歴書を見たときの面接官の言葉で締めくくりたいと思う。


続く...


今日の一言

面接官:「こんなの書かなくていーよ。」



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