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いざ面接(前編)

〜 あ、そうですか 〜




さて、職安を後にすること2時間、スーツ姿でたどり着いたビルの前。
お世辞にもきれいなビルとはいえない。
狭いエレベーターは階段であがったほうが速いのでは?と思わせる速度で到着。

大丈夫なのだろうか?
いいようの無い不安感がつのる。ただそれでも引き返すことはできない。
オレの前にはいまこの道しか残されておらず、その道すら迷いを持ちながら歩いていけるような楽な道ではない。
まさにイバラの道であるからだ。オレは受付のドアノブに手をかけた。

受付の部屋に入って自己紹介。お茶が出てしばらく待たされる。

大丈夫、この辺までは予想通りの展開だ。
平常心を保つのと暑かったのとで出された麦茶をグイッとのどに流し込む。
いよいよ社長とおぼしき人物が登場した。

第一の関門・・・履歴書


予想通りこれが一番きついことはわかっている。
なんたって職歴欄・資格欄が真っ白なのだから。唯一、書けそうなものといえば原付の免許だけ。
・・・さすがに止めといた。
するとそこにぼそっと社長の一言。

「何にも書いてへんな。」


しまった!やっぱり書いとくべきだったか、原付免許。いや、どうなんだ?
この問いに対する答えはいまだに出ていない。

そこからこのオレの履歴書における暗黒時代、すなわち大学にいかなくなってから現在までの空白の5年間に当然のことながら突っ込まれる。


社:「どうやって生活してたんですか?」

オレ:「はい、主に接客業のアルバイトをしてました。」

社:「ほう、じゃあお客さんとのやりとりなんかは大丈夫だね。」

オレ:「(?)はい、特に問題は無いと思います。」

知らなかった。技術者に求められるのは技術だけではないようである。

社:「具体的にどんなアルバイトですか?」

オレ:「はい、バーテンやウェイター、食品関係、塾の講師などいろいろです。」

社:「ほほう。」


履歴書になにやら書き込む。その後いくつかプログラムには一切関係の無い質問が続いた。
ウェイターとしてどんな仕事をしていたのか、場所はどこか、バンドをやってたらしいがリーダーだったのか?などである。
そのたびに社長は履歴書に書き込んでいく。
見る見るうちに真っ白だったオレの履歴書に文字が並ぶ。

その内容は、

たこ焼き屋
塾講師
ウェイター
バーテン
バンドをやっていた。



・・・・・・・・・・。

・・・理解できなかった。いったいこのお方はオレの何を知りたいというのだろう。
後々のことであるがこの社長に加筆された履歴書が実際に使用されるなんて夢にも思わなかった。


第二の関門・・・技術的質問


これに関してオレには策があった。
策というより何にも知らんのだから「知りません」で突っ張るしかないだろう、という開き直りだ。
どうせ研修生として無給で勉強するのだから今現在の技能など求められることも無いだろう、とたかをくくっていたのだ。


社:「パソコンは持ってますか?」

オレ:「はい。」

社:「OSは何を使ってますか?」

OK、これならわかる。

オレ:「Windows98です。」

社:「CPUのクロック数は?」

え?

オレ:「・・・ちょっとわかりません。」

社:「・・・メモリーは?」

オレ:「・・・すいません、わかりません。」

社:「自分で組み立てたことは?」

オレ:「・・・・・・ありません。」

やべぇ、さすがにやべぇ。質問の意味すらいまいちわからん。
こちらのその雰囲気が伝わったのか。社長はあっさりと技術的な質問を終えようとする。
ひとつくらい技術的なアピールもしておきたいオレとしてはこのまま終わるわけにはいかない。

オレ:「小、中学生のころなのですがN-88BASICで簡単なゲームなんかを作っていました。」

社:「あ、そうですか。」

社:「それでは簡単なペーパーテストを受けてもらいますので。」



あっっっさりとアピールタイムを終了させられたショックと、予想だにしていなかったペーパーテストの言葉に混乱をきたす。

そしてテストへ。


続く...



今日の一言

社長、たのんますよ・・・



いざ面接(後編)
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