直接このページに来た人は入口から入ってください....

序章

〜 タイムマシン 〜




さて、職安を乗り切った満足感もつかの間、今から面接である。

今までいろんなバイトで面接はしてきた。
高校生の時のたこ焼き屋を皮切りに、回転寿司、しゃぶしゃぶ屋、ウェイター、カラオケBOX、バーテン、塾講師、etc・・・
オレの場合、まず面接で落とされるということは無かったように思う。


と、ここまで書いて思い出した。・・・・あった、面接で落ちたことが。


〜 以下回想 〜

高校生時代から自給800円くらいでバイトしていたオレも噂に聞いていたことがある。
「塾や予備校で人気講師になればすごい儲かるらしいよ。」
この儲かるというのがどうやら半端ではなく収入はウチの親父の軽く数倍は儲かるらしいのだ。
(親父の収入が半端だったという事実もそこには関係している。)

オレは受験勉強には自信があったから、大学に入ったら絶対に塾→人気講師→親父の数倍コースをたどることを当時から決めていたのだ。

そして大学入学。

まず予定外の出来事として親に預かっていた大学の授業料を使い込むという(生い立ち参照)ハプニングがあり、あえなく塾講師の予定は先延ばしになった。
塾講師は面接から採用、そして実務までにけっこう時間がかかるのだ。
当時そんなことをしていたらその間に退学になってしまう状況だった。
で、1年間ウェイター業やカラオケBOXの寄り道をした。これもこれでいろいろあっていつか機会があれば書きたいと思うが、今回は割愛する。

そして2年目がやってきた。

いよいよである。

親父の数倍である。

絶対の自信を持ち関西でそこそこ名の通った進学塾に面接しに行った。
数人の人達と実技テストを受け、軽い説明を聞く。
そして、後日合格の人だけ連絡が来るということらしい。もちろんオレのところには真っ先に連絡がくるのだろう。
「ぜひ、ウチで働いてください。」
ってな感じでな。アーハッハッハ。

と思ってたらさっそく面接官がオレを名指しするのだ。

おいおい、オレだけもう合格通知かよ。
周りの人たちが可哀想だから後で電話してくれりゃいいよ。
とか思ったのは若気の至りだ。



面:「ukkyoさん」

オレ:「はい」

面:「その髪型は直してもらえますか?」



白状しよう。

当時のオレは金髪だったのだ。
それも今時のおしゃれなやつではなくとにかく色をぬいたもん勝ち、みたいな前時代的な金髪である。
1980年代のくそヤンキーかぶれだったのである。
中学生の頃はかっこいいと思って常にガニマタで歩いていたことも言わねばなるまい。

そしてそして、恥ずかしいからホントに言いたくは無いのだが、くそヤンキーは
自分の髪型にポリシーを持っているのだ。
昔、Rockバンドがテレビに出るということはカッコ悪いことであった。しかし、今はそんな時代ではない。そんなことにこだわっていた時代があったということさえ知らない人が多いだろう。

そしてオレは言ったのである。


「それはできません。」


・・・・。

話は変わるがドラえもんの道具で一番欲しいのは何?の問いで人気があるのは

・どこでもドア(定番)
・もしもボックス(反則?)

くらいがよくあがるが俺の場合はタイムマシンだ。
それでとにかくあの時のオレを殴り飛ばしにいきたいのだ。

もちろんその進学塾から電話などかかってくるはずも無くオレが塾講師になるのはそれから一年も後、金髪もずいぶんましになり、進学塾ではなく小さな小さな学習塾で親父の数分の一の給料をもらってやっていたのだ。


いやなことを思い出してしまった。だが人の記憶とは便利なもので都合の悪いことは忘れてしまうようにできているのだ。
その証拠にオレも今回面接に向ったときは

「大丈夫、大丈夫。オレは面接で落ちたことが無いんだから。」

と気楽に考えていた。あったんだよ、実は。思い出さなくてよかった。弱気になるところだった。

ただ希望だけに満ちていたオレは27歳にもなって未だに着慣れてないスーツとネクタイに身をつつみ面接へと向かって行ったのだ。


続く...


今日の一言

気をつけろ、かっこいいと思っているのは自分だけ。



いざ面接(前編)
TOP
BACK