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眠らない街とオレ(前編)


新宿でのとある金曜日。
生活に少し余裕の出てきたオレはある行動にでた。
それは一体何なのか。
いやいや。
オレに余裕ができたときにすることなんて知れている。
そう、パチスロしかない。
で、少しの余裕すらも奪い取られてギリギリの週末を迎える。
これがここ最近の生活パターンだ。
というかオレの人生のパターンだ。
黄金律といってもいいだろう。
絶対に抗うことのできない法則。
そういった神秘的な力に引っ張られ、オレはフラフラとパチンコ屋へ入った。
しかし、この日はここからが違ったのだ。

なんと、座るや否や大当たりを掴み取ったオレ。
あれよあれよというまに頭上の箱にはメダルが積み上げられていった。
こんなに調子がいいのは本当に久しぶりだ。
オレは本当に、本当に楽しいひと時を過ごした。

パチンコ屋が閉店となる夜11時。
オレの手には自分の小遣い2か月分以上もの金があった。
興奮冷めやらぬままオレは帰路につく。
ど、どうしよう。
これだけあれば・・・これだけの金があれば。
普通は服を買おう、とか思うのだろう。
しかし、そこはオレ。

これだけあれば、またパチスロが打てる!

はぁ・・。
またか。
また負けるまで打ち続けて終わりのパターンだ。
ギャンブルで勝った金の使い道はギャンブル。
これもまたオレの鉄則である。
唯一、その日の晩酌の刺身が豪勢であったことが救いだろう。
明日は土曜日。
また朝からパチスロ行くんだろうからそろそろ寝るか。
オレはベッドで眠りについた。


・・・・いや。

眠りにつけない。


血がたぎって寝られないのだ。

メダルが次々に出てくる快感が頭を離れない。
パチスロが打ちたい。
それでもパチンコ屋はもう開いてない。
寝るしかない。
悶々とした欲求が体を襲う。
こんな状態で眠るまでの数時間を過ごすのか。
拷問じゃなかろうか。

あ〜、どうしよう。
どっかに一人でいける飲み屋でもないかなあ。

・・・・・ん?

ここってひょっとして新宿じゃね?

眠らない街じゃね?

キャバクラなんて腐るほどあるんじゃねぇの?

いつもならどれだけ金を持っていようがありえない。
一人でキャバクラに行こうなどとは思わない。
しかしこの日は別だった。
金、時間帯、気分、場所、あらゆる条件が偶然にもクリアされていた。
そうとわかればオレはもう止まれない。
今すでに結構酔っていることもまた決断を加速させる。

夜2時。
コートを着込んだオレは勢いよく部屋を飛び出た。

さ、さむっ!!!!!

ヤバイ!
ヤバイくらい寒いぞ。
こんな中を歌舞伎町まで15分も歩かなきゃならんのか?
普通なら絶対に引き返すぞ、これ。
まあ、オレが引き返すはずはないのだが。

程なくしてオレは歌舞伎町に到着した。

中編へ続く


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