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大東京単身赴任(第3部)

〜 妄想と現実の狭間 〜



オレの1週間遅れで入ると聞いていた新人というのは40歳の人だった。
前の会社は今の会社よりもはるかに名の通った外資系企業だったようだ。
しかしこの不況により退職プログラムが実施されたらしい。
普段よりも多く退職金を支払うからたくさん辞めてくださいね、というものだそうだ。
どこも大変なんだなぁ。

さて、その人と一緒に受ける新人研修が先日から始まっている。
全部で1週間くらい、今日はその3日目だ。

はっきりいってつまらない。

事務の手続きとか社員の規約とか会社の紹介とか。
あまりにもつまらない話が続くから違うことを考え始めてしまう。

オレはこの会社で何を学べるだろうか。
そんなことをボーっと考え始めたのだ。
英語、プレゼン、資料作成。
確かにこれらは技術者としては重要なものだと思う。
しかしオレが本来求める技術的な成長は会社にはあまり期待できないだろう。
やはり自分が求める理想的な会社など世の中にはないのか。
これは仕方のないことなのだろう。

言っておくが、もちろんオレはこんなことでくじけない。
それならばだ。
技術はひたすら独自で身に付けるしかない。
そしてここで得たプレゼンや英語力などを背景に数年後に大きなアクションを起こす。
こんなプランはどうだろうか。

キュルッ

え?キュル?
何?オレの腹??

実はオレ、東京という慣れない環境で生まれて初めて便秘というものになっていた。
さすがに最近は腹も張ってきてマズイと感じていたので。
前日に嫁にもらった「ウ○コが出るお茶」なるものをもらって飲んだのだ。
しかしそれを1杯飲んでも何も変化がなかった。
こんなはずではないと立て続けに2杯目を飲んだが変化はない。
おかしいなあと思いながら昨日は寝てしまったのだ。

遅効性だったか・・・。
しかし今は研修プログラム中だ。
しかも2人の新人のために時間を割いて来てくれているのだ。
そのうちの1人が抜けるわけにいかない。
オレは寒気がするほどの腹痛に耐え必死に願った。
早く終われ、と。

かろうじて願いは通じたのか5分の休憩がはさまれることになった。
オレは一直線に突き進む。
わき目も振らずにただ進む。
自分の夢に、いや、トイレに向かって。

下剤といってもいいレベルのものらしい。
数分後、なんとか事なきを得たオレは全身の力も抜け落ちフラフラと戻ってくる。
戦いは終わった。
苦しんだ分だけ価値のある勝利となっただろう。
研修も再開された。
オレもまた輝かしい未来への妄想旅行を続けようではないか。

オレの今の問題点は何か。
それは今の会社で仮に出世したとしてもそこにオレの幸福がない可能性が高いことだ。
これは間違いなさそうだ。
もちろん収入はかなりあるとは思うがそれ以外の欲求の大部分は満たされない。
自分で何かを作り出す、考え出す。
人々を驚かせる、楽しませる。
この辺りの欲求の実現が難しいのだ。

だが、なんにしろ問題があるのはいいことだと考えるようにしている。
その問題を解決すれば確実に目標に近づけるからだ。
次の問題点は何だ。
こう考えているときオレはいつも満たされている。
さぁどんどん問題点を洗い出していこうじゃないか。


キュルッ


な・・・・・・。
終わっていなかった。
妄想旅行どころではない。
それはオレの戦いがまだまだ続くことを知らせる合図だ。
すぐさま2回戦へと入っていくのであった。

続く...


今日の一言

4回戦まであったとは・・・・

爆弾発言
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