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大東京単身赴任(第5部)

〜 金策尽きる 〜



さてさて。
私生活の忙しさは相変わらず。
予定ではそろそろ英語かネットワークの勉強を始めているところだったが。
家でインターネットにつながらないという不便さ。
初めての便秘。
突然入った結婚式での弾き語りの依頼。
掃除、洗濯、食事、久々の一人暮らしでの不慣れなことモロモロ。
これらのことに時間をとられて何にもできていない。
もうこっちに来て一ヶ月近くなるのにだ。

これはいかんな。
オレは急にあせりを感じ、いそいでTOEICの対策本を買おうと思った。
まずどの本がいいのかネットでリサーチ。
これだけのために15分ほど歩いて無線LANのできるマクドナルドにいかなければいけない。
不便だ・・・。
そしていくつかの代表的な対策本の情報を入手した。
1冊2〜3千円かぁ・・・。
止まってしまった。

今のオレにとってこの2〜3千円は生死に関わるのだ。

資格に関する書籍代などは合格後に家計から清算されるという事情もある。
だけど数千円くらい小遣いでなんとかなっても不思議ではないだろう。
なぜにこんなに金がないのか。

まず一つは結婚式での弾き語り。
友人は気楽にやってくれたらいい、などと言ってくれてはいる。
しかし、やはりプロを目指していた人間としてはそういうわけにはいかない。
耳の肥えてない人が「スゴぉ〜〜い!」と言ってくれるレベル。
ここが最低ラインだ。
そして耳が肥えている人もある程度納得させる、ここまでもっていきたい。
という事情でオレは今、毎日のようにスタジオに入っている。
さらに久しぶりに出したギターは弦も錆びてボロボロだった。
スタジオ代、楽器周りにかかる金。
これがかなり膨大になってきているのだ。

その上に食費、クリーニング代、あらゆる雑費がかかる。
これが最近の経済事情を限りなく圧迫しているのだ。
だが、結婚している男性がこれを読んでいたら不思議に思うだろう。
そんな雑費や急な出費のスタジオ代などは家計から出るのではないか。
そう、そこだ。
ここでオレはある勝負に出ている。

実は入社日の出来事だ。
新たに銀行口座を開設するようにと指示されたのだ。
なんで?と初めは思ったが理由を聞いてニヤリとした。
それは経費清算用の口座だ。
出張の時の交通費、出張手当。
その他あらゆる経費は後に精算されてここに振り込まれる、というではないか。
さらに、今は研修という立場だが一応出張手当の半額が支給されるとな。
な、なんと!!
一日2250円が土日を問わず毎日支給されるというのだ。
これだぁ!
これを聞いてオレは迷わず勝負に出た。
これを逃してはいけない、即行動だ。

知っているだろうか。
チャンスの神様はオレたちの前を猛スピードで走りぬける、という話を。
そしてチャンスの神様には前髪しか生えていないことを。
神様が自分の前を走りぬけようとした時に即座に反応し。
そいつの前髪をグッ!!と掴んでやらなければならない。
でないと神様が自分の前を通り抜けた時。
しまった!あれがチャンスだったんだ!と気づいたとしても。
捕まえてやろうと思ったとき、神様の後頭部に髪の毛はない。
ツルッ!と滑ってしまうのだ。
某マルチ商法のセミナーで聞いた話なのでどこかの受け売りだとは思うが。

まあこの時のオレの心境はこれに通ずるものがあったのだ。
その日、帰ってすぐに嫁に持ちかけた。

オレ:「これからは雑費や交通費は自分で管理するから。」

オレ:「だからこの通帳はオレが持っておくな。」

完璧だ。
いくら雑費といってもしょせん雑費。
1日2250円もあれば必ずプラスになる。
これでオレは嫁に管理されない金を動かすことができる。
フッフッフ・・・。
含み笑いのオレ。


はい。

また見切り発車でした・・・。

突然、連日のスタジオ続きで金はかかる。
そしてやっぱり食費やクリーニング代、交通費の雑費は馬鹿にならない。
さらにオレがアホなのは。
経費清算によるタイムラグをまったく考慮していなかったこと。
例えば月末に締められた経費が支払われるのは翌月10日だ。
このように支払いがあるのは月に2回だけなのだ。

次の支払いまでまだ1週間ある・・・。
ここさえ、ここさえ乗り切れば少し楽になる。
でも・・・乗り切れるかな・・・。

続く...


今日の一言

ビールを減らさないのが駄目?

繰り返される過ち
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