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大東京単身赴任(第6部)

〜 繰り返される過ち 〜



なんとか仕事に対するモチベーションも取り戻したオレ。
実は最近好調である。
何がって言われたらわからないけどなんとなく雰囲気がいい。
まず今日の晩が楽しみだ。

知っての通り、前の出向先と今の会社とはビジネス上の取引がある。
その関連で以前の上司と今の本部長、そしてオレの3人で飲むことになった。
久しぶりに前の上司に会えるのも確かに楽しみであった。
だが正直なところはそれより何より会社の金でうまい飯が食える。
これに尽きる。
場所はとある和食屋。
ん〜、とにかく楽しみだ。

そして明日。
オレは初めて客先に出る。
セミナーなどに出たことはあるが小規模なプレゼンに同行するのは初めてだ。
オレは特にすることもないが勉強のために同行させてくれるというのだ。
ずっと机の前に座っていたオレ。
はっきりとした仕事もなくボーっとする時間が長かったオレ。
そのオレにとってとにかく客先にいけるというのがうれしかった。
あの椅子にじっとしてなくてもいいのだ。
移動してる時間も給料がでるのだ。
このようなスケジュールを前に。
オレは最近ようやく自分の流れを取り戻したと感じていた。

さて、仕事が終わっていよいよ和食屋。
そこはとても楽しい場であった。
本部長は殆ど飲まないので実質2人で焼酎を飲んでいたのだが。
そこに出てくる刺身のうまさ。
仕事の興味深い話。
普段のオレが耳にはできない裏事情なども飛び交っていた。
そしてますます焼酎は進む。
程なく焼酎のボトルが1本空いた。

「もう1本いきましょうか?」

本部長が言う。
誰も止めはしない。
でも、よく考えてほしい。
ここで酒飲んでるのは2人だけなんですけど・・・。

しかし宴はとどまることを知らない。
話は弾む。

「お前、すぐ辞めたりするんじゃないぞぉ!」

などとオレに酒を注ぐ本部長。

「絶対に恩返ししますよ!」

とその酒を飲み干すオレ。
そりゃ言えませんよ。


数日前まで辞めるつもりだったなんて。


ふぅ〜。
相変わらず酒が入ると絶好調!
舌はいつにも増して高速回転。
いい気分だ。
ん?
あれ?

焼酎のボトル空いてますけど・・・。

2本目?
2人で?
1人1本????
っていうか元上司よりオレの方が飲んでたっぽいし。
一体オレどんだけ飲んだんですか?

宴は終わった。
2次会も何もない、ただの食事会。
時間も10時にもなっていなかったと思う。
短期間で大量の酒を飲み干したオレに待っていた運命は。

そう。
帰り道、電車を乗り過ごすこと1回。
電車を乗り間違えること2回。
ものすごく苦労して家に帰ったと思ったらそこからの意識はない。
憶えてるのはただ目の前で鳴り響く目覚まし。
下半身はパンツ。
上半身はカッターシャツにネクタイ姿。
そんなオレがベッドにいたことだけだ。

朝か?

フラフラになりオレは起き上がる。
無理だろう。
飲んだ翌日なんて非常識だけど休むしかない。
ん?いや待てよ。
今日は客先に行く日だ!
営業部にも話を通しているので今からキャンセルするわけに行かない。
これは何としてでも行かなければ。
這ってでも行ってやる!

と・・。
実際、這って行ったわけではないがそれに近いものがあった。
家を出る前に耐え切れなくなって嘔吐。
何か腹にいれようと出社途中で食べたうどんを出社後すぐ嘔吐。
胃薬を飲むために一緒に飲んだ水さえも受け付けずに嘔吐。

・・・幸い客先に行くのは午後だった。
昼過ぎ、ようやく普通にいられるようになったオレ。
目の前にはすでにお客さんがいた。

続く...


今日の一言

最近リズムが狂いっぱなし

腹は減るわ腹が立つわ(前編)
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