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大東京単身赴任(第10部)

〜 商う 〜



前回のテストでわかったこと。
それはオレが研究者には向いていないということ。
俗世の煩悩を断ち切ることなどオレには無理だったのだ。
これはオレの中ではちょっとした方向修正になる。
なぜ今まで頑張って勉強してきたのか。
それはあくまで研究者としての自分をイメージしてのことだったのだ。

一念発起して勉強を始めてから2年半くらいになる。
プログラム言語、データベース、ネットワーク、資格・・・。
色々勉強したが今後はただ勉強するだけでは駄目だということだ。
新たな方向性を意識しつつその分野を決断しなくては。

自分が研究者タイプではない。
それでは何なのか。
しばらく考えたが結論に至るまでそう時間はかからなかった。

オレは商売人だ。

そう、やはりそうなのではないか。
接客業のバイトは楽しかった。
相手が本当に求めているものを見抜く。
そして心の動きの機微を知り、先手を打つ。
そういう技術はずっと磨いてきた。
さらに母親も根っからの商売人であった。
小学校すらまともに卒業せずに商売に携わってきた人だ。
生きていくための手段として当然のことであったのだろう。

「商は笑して勝なり」

この3つの「しょう」は母親がよくオレに言って聞かせていた言葉だ。
必死な顔でどれだけ進めてもモノは売れない。
商売人は本当に楽しそうに、うれしそうに仕事をしなければならない。
笑いながら楽しく、そうすればモノは飛ぶように売れる、というものだ。

母は世間的に特に大きなことを成しえたわけではない。
しかし、やはりオレにとっては偉大な人であった。
母が伝えてくれた数々の心得はオレの体に深く染み付いている。
その辺りを考えてみると結論は自ずと出るのだ。
そう、オレは商売をしなければいけない。

さて。
ところが商売人などといってもそんなのは腐るほどいる世の中だ。
はっきりいって普通すぎる。
普通でいいじゃないか、という人もいるがオレは別だ。
オレが普通であってはいけない。

なぜならオレの人生はオレのステージだからだ。(と思っている)
オレは自分の役どころを演じ続ける。(勝手に)
そして周りに楽しみを与え続けなければならない。(一方的に)
そういう使命を自分に課しているのだ。(はた迷惑)

そしてドラマでもなんでも一定の観客の期待、というものがある。
期待を裏切るようなハラハラドキドキも楽しい。
だがこの一線を超えられると面白くない、という限度があるのだ。

ヨン様がいくら格好よくても、だ。
ヨン様がドラマの中でヘビメタバンドを組んではいけない。

ヨン様はモヒカン刈りにしてはいけない。

ドラマなんて作る側の勝手で何をしようが自由だ。
しかしこうなるとおば様たちが黙っていないだろう。
おそらくテレビ局に苦情が殺到する。
私達のヨン様に何をするの?!って。
ちなみにオレは実際にドラマを見たわけではない。
だから本当にヨン様がモヒカン刈りにしてたらこの論理は全て破綻する。
絶対ないだろうけど。

さあ、ここでだ。
勝手にステージを作り勝手に観客をイメージしているオレ。
そのオレはやはり普通ではいけない。
オレが普通であるということはヨン様がモヒカンであるということだ。
普通の商売人ではなく、周りがあっと驚くような商売人。
そのためにこれまで勉強してきた技術を応用するのだ。
技術を武器に面白い商売を展開する。
そうなるとやはり最終的には起業ということになるのであろうか。

まだ詳細はぼんやりとしているが大体のイメージはできた。
これからの勉強はその後ろに商売を意識した勉強にしなくてはならない。
オレ、商売人。
商売人、オレ。
少し方向性は変わった。
変わったが、もとの本流に戻ったともいえる。
どういうことかというと。
オレが何かの商売を始める時をイメージしてみた。
するとそれが商品なのか商売道具なのかわからないが。
オレは何かをプログラマとして作っている気がする。

転職してからというもの少し気にしていたことがあった。
それは明らかに最近「プログラマーへの道」からは外れている、ということだ。
だが、やはりオレはプログラマとして生きていくのだ。
そんな可能性が見えてきたとも言える。

続く...


今日の一言

無理やりですな

おい、そこのお前!
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