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大阪物語(第12部)

〜 お客様は神様ですか? 〜




「何事もなく無事に動いてくれ」

そう願っていたシステムはオレの期待を必要以上に裏切り次々と不具合を発生する。
その不具合に対応するために新たな修正が入る。
その修正の周辺の知識が無いからなんとか調べながら聞きながら、苦しみながらこなしていく。

こんな日々が続くうちに疑問に思わざるを得ないことが出てきた。
先ず最初に今動いてるこのシステム、まるでボブ・サップなのだ。

ボブ・サップは格闘技の経験も無いため特に秀でた技術があるわけではない。
だが持ち前の体格とパワーでごり押しで闘う。
そしてなんとか勝ってしまったりする。
それがボブ・サップだ。

話が抽象的なので具体的に言おう。
お客様であるユーザーからいろいろな要望や希望、意見がある。
そういった修正に柔軟に対応できるようなシステムを作るのはとても難しいものである。
逆にそこがプログラマやSEの技術の見せどころだと言えるだろう。

だが今回のシステムの修正方法はお世辞にもきれいなものとはいえない、その場しのぎのものであった。
結果、ツギハギだらけのシステムが完成した。
もう次に修正を加えるとどこに不具合がでるのか誰にも見当がつかない。
それでもなんとかツギハギの上にツギハギを重ね続けて表面上はうまくやってきた。
だからボブ・サップなのである。

だがここでオレが言いたいのは技術力のことではない。。
オレもそこまで大した技術力は現時点で(絶対に手に入れるつもりではいるが)持っていない。
その前の段階に対して疑問を持ってしまったのだ。

それは

本当にそれだけのユーザーからの要望に応える必要があったのか?

ということだ。
もちろんお金を払ってくれるのはユーザーであり、そのお客様にできる限り満足してもらうというのが商売の基本である。
オレはソフトウェアの経験こそ少ないが、こと接客業に関しては長く経験してきた。
バイト遍歴については別の機会に詳しく書こうと思うのだが、16歳から10年以上いろんな店でバイトしてきた。
大繁盛している店、閑古鳥の鳴いている店、つぶれた店、色々見てきて得た持論がある。
それは

お客様は基本的に神様である

ということだ。
裏を返せば基本から外れた客は神様ではない、となる。

この教訓を得たのは水商売系の店でボーイやバーテンをしていたときだ。
こういった店ではお客様は酒を飲むことが目的で来ているわけではない。
その証拠にラウンジやクラブなど特に女の子が接客する店では酒は原価の3倍以上の値段で販売されている。
お客様は従業員のサービス(オレの働いていたところでは主に話術)に対してお金を払っているのだ。

・サービスをいかに提供するか(騒がしく楽しむ、笑わせる、しっとりと飲む、etc..)
・どの部分を重点的にするか(どんなお客様をターゲットにするか)

がその店の個性になるのだ。

ここで流行る店、流行らない店の明暗をくっきりと分ける要因をオレはこう分析した。
とくに流行らない店によく見られる特徴として

特定の客(常連など)に過剰なサービスを提供する

これをしているところが非常に多い。
店側が客の値踏みをしてサービスに差をつけるのだ。
確かに常連客としてはうれしいだろう。
だが、たまたまその店に初めてきた人はどう感じるだろうか?
従業員は常連ばかりに話しかけこっちはほったらかし。
酒屋に普通に売っている酒を市価の何倍もの値段で飲むだけ。
非常に高い店だと感じ、おそらく次にくることは無いだろう。

流行っている店はこれをほとんどしない。
逆に新規客(初めて来た客)ほど大切にしろと教育するところもある。
基本的に全てのお客様にできないサービスはどのお客様にもしない。

例えば「徹子の部屋」で考えてみよう。
黒柳徹子はゲストが若い男前のタレントのときだけ楽しそうによくしゃべるようなことはないだろう。
実はあんまりテレビは見ないのでホントのところは知らないのだが、視聴率の取れている番組らしいからそのはずだ。
どのゲストに対しても彼女らしい対応(サービス)を提供し続けられるから好きな人にとっていつ見ても楽しい番組になるのだ。

話がそれてきたのでここらで戻しておこう。
大事なのは全体としてのお客様を大事にするという精神だ。
あるユーザーの要望に対応するために他のユーザーへのサービスが悪くなったり、不具合を出して迷惑をかける可能性が高いのならその要望は聞くべきではない。
それがどんなお得意先だとしてもだ。
確かにこれは理想論なので実際はそうも言ってられない事情があることもある。
だがやはりできる限りそれは避けるべきだ。

今オレが携わっているシステムにしてもいろんな修正が施されているから何かの拍子ですぐに不具合が発生する。
だから既に開発は終わっているのに運用するためだけに開発者を常時確保しておかなければいけない。
もともと利益もでていないプロジェクトなのに開発費がかさむため大赤字なのだ。
こうなる前に対策を打っておくべきだったと思うのだが、いまさら言っても仕方ない。
運用担当者だけでやっていけるように改善するという与えられた仕事に集中するのみだ。

こういう話は際限なく書き続けたくなるのでここらで終わろうと思う。
ネタもなかったし今回は特に笑いどころのない進行状況だったことを反省している。

続く...


今日の一言

よく考えたら「進行状況」でもねぇやな



緊張の冬
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