前回説明した「仕様変更」なる強敵の出現により、1ヶ月強というノルマはかなり微妙なラインとなる。 どの程度微妙かということを説明しておくとそれはもう、いや、そんな、マジで、無理でしょ。 って感じなんだけど新米だからそれが言えない、という意味で微妙なのだ。 しかし、この仕様変更というもの、初仕事でさっそく味わったがなんとも切ないものだ。 要するにそれまでの数日間の仕事は全部無駄でした。と宣言されたも同義なのである。 いや、「無駄でした」とそんな生やさしいものではなかった。 「無駄」という言葉にはまだ本人を気づかうやさしさが感じられる。 「全部ウソでした」 これだ。 まるで騙されたこちらが悪いかのような人を小ばかにした態度。 ホントの仕事はこっちだよ〜ん、と舌を出して笑っているようにさえ感じられる。 ちくしょう、くやしい、くやしいが、、、ここで腐ってはだめだ。 いつものスーパープラス思考で乗り切れ! 逆境が困難であればあるほど燃える人間なのだ、オレは。 ここで説明しよう。 「スーパープラス思考」とは通常の人々がよく口にする「プラス思考」とは 似て非なるものであり、それはまさに「スーパー」と呼ぶにふさわしいくらい 普通の人間ならどう考えても無理だと判断するところをあえて命綱もつけずに飛び降りて行くくらいの 俗にいう「キマッてる」と呼ばれる状態に近いものがあるわけで、正直こいつのせいで何度も痛い目にあった。 それが、きたのだ。またしても。 ふつふつと燃え上がる感情、無駄にあがる体温。 プログラマを目指した初日に似た感覚だ。 この状態のオレは、間違っても空は飛べないが、何でもできるのである。 家に帰ったオレは考えた。 どうすれば仕事が円滑に進むのか、なにが作業を遅らせるのか。 その答えの一つはすぐに出た。 例の機械だ。 仕事では自分が組んだプログラムをその機械に送信してその上で走らせている。 そして手元のPCからモード切替をするたびにその機械にコマンドを送信するのだが、 その作業がわざわざ手入力でけっこう面倒なのだ。 それをさせるツールを作ってやれば、、、しめしめ、という感じだ。 さっそくオレは作業に取り掛かる、完成目標は3日後だ。 はっきり言って、いつものスーパープラス思考なら失敗していたかも知れない。 しかし、生まれて初めて社会人としての仕事を経験したオレは自分でも気付かなかったが、どうやら一皮むけていたようだ。 熱くなりすぎず、あくまで冷静さを欠かさず、いうなれば青い炎で燃えていたのだ。 仕事から帰るとすかさずツール作成にいそしみ、実に着々とコマンド送信プログラムは完成に近づいた。 3日後、夜の10時くらいだったろうか。 目的のツールは目の前でほぼ完成していたのだが、しかしオレは思案していた。 一体何を? 何かこう、ツールのデザインがさえないのだ。 せっかくの自分が仕事で作った初めてのツールだ、見栄えもよくしたいと思うのは罪ではないだろう。 そして、この「プロ道」でさえもデザインセンスの無さを暴露しているオレのこと、 ましてや仕事場と自宅でのプログラム漬けの日々に疲れもピークに達していたのだ。 ある程度のセンスの無さや、少しの奇行くらいは大目に見てやっていただきたいのだ。 だがしかし、ここでオレがとった行動はこれを読む方々の想像の範疇を少しばかり超えてしまっているのかもしれない。 オレはそのとき、どういうわけか、Googleで「デビット」というキーワードで画像検索していたのだ。 そして、数多く出てきた画像の一つを保存・・・・・ツールに貼り付けていたのだ・・・・・。 そのツール自体は仕事内容が明らかになってしまうため公開はできないが、一度想像してみて欲しい。 制御機械のモードを切り替えるツール。 そこにはいくつかのボタンが並んでいる。 その中に突如として このようなおじさんがいる場面を。 このツールを仕事場に持っていって実際に使っていたということは信じてもらえないかもしれない。 それくらい今思うと異常な行動だ。 だがあのときのオレは、スーパープラス思考のオレは、やはり「キマッて」いたのだ。 続く... 今日の一言 問題があったら削除します。連絡ください、デビットさん。 |