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家庭と苦悩の日々

〜 守る者、守られる者 〜




夢を失い、涙を流したあの日。
それでも腐らず新しい夢に全てをかけたあの時。

あれからもう一年と数ヶ月が過ぎた。
少しずつ給料も上がり、次回出るかどうかは定かではないが今回はボーナスもでた。
ようやく普通のサラリーマンと言えなくもない生活を送っている。

しかし、それでもオレは全然満足していない。
技術者としてもっともっと上を目指したいという気持ちもある。
だがそれだけではないのだ。

進行状況を読んでくれている方々に質問する。
ここ最近のオレはやたらとにこだわってきたと感じなかったろうか。
給料上げろだの、ボーナスはいつ入るだの。
およそ未経験で拾ってもらってまだ一年の社員が口にする言葉ではなかったかもしれない。

実はその通りなのだ。
オレには技術を追求する心とは裏腹に金を追い求めなければいけない事情もある。


オレは先月(2003年12月)、3回目の結婚記念日を迎えた。


そう、オレには嫁がいるのだ。
世間的にオレは一家の主ということなのだ。
だが今までの進行状況で書いてきたとおり、オレは1年半前まではフリーターだったのだ。

「フリーター」

こういえば聞こえはまだマシかもしれないが、その実情は・・・
バンドをやりながらのバイト生活。
そのバイトがパチスロだった時期もある。
そして、最後の方は一切仕事をしないただの無職バンドマン
結婚前からこんな感じだったが結婚してもそれは変わらなかった。

オレは完全に結婚というものをナメていた。
しかし実際、二人の人間が社会的生活を営むというのはそんなに楽なものではない。
家賃しかり、電気代しかり、家具の一つ一つに至るまで、一人暮らしのときより全てにおいて金がかかる。

じゃあこんなオレがどうやって今まで生活してこれたのか。
ここにオレの苦悩が隠されているのだ。

嫁は今のオレの3倍以上の月収を得ている。

ずっとだ。
結婚する前からずっとだ。

オレはどうしても音楽をやりたかった。
だから微力ながらもバイト代を提供していたのだ。
だが年齢的なあせりも出てきた頃、オレは音楽に集中するため一切の生活費の捻出を嫁にお願いした。
それを嫁は快く引き受けてくれたのだ。
結婚してるから少し違うだろうが・・・まあ・・・「ヒモ」という言葉が一番しっくりくる。

オレは絶対に忘れてはならない恩を受けた。
それはわかっていながら口に出さずにいられない気持ちがある。

妻よ。

よくもまあこんな男と結婚なんてしたものだな

そしてお義父さん、お義母さん。

あなた達、なんでもありですか?

いやいや、いけない。
こういう適当な方達に守られてオレは今まで生きてこられたのだ。
そしてそれはうちの両親もそう。
なにしろお互いの両親同士はまだ挨拶したこともないのだ。
一度きり父親同士が偶然会ったときに挨拶しただけだ、それも競馬場で。
どうも向こうは京都、こっちは大阪なのでわざわざ出向くのが全員めんどくさいらしい。
うちの夫婦も含めて全員が全員適当な親戚一同、まさにオレにピッタリだ。

そしてそんな折、不本意ながらもバンドは解散した。
オレは急遽仕事を探すことになったわけだ。
結婚してもなお自分のためだけに生きてきたオレ。
しかしこのときには、これからの人生を少しくらいは嫁に返していこうと考えるようになっていた。

だからオレは金を追い求めるのだ。

自分の小遣い以外はすべて家計に入れている。
給料があがってもオレの小遣いは増えない。
ボーナスなんて全て嫁に横流しだ。
それでもオレは闘う。
賃上げ交渉もする。
少しでも嫁に返していけるように!

そして少しずつ、少しずつ結果は出てきた。
徐々に膨らむ自分への自信、自己の存在意義の確認。
だがそんなものは全て、暴風雨の中でリポーターが持っているビニール傘のように軽く消し飛ぶのだ。

自分が成長すればするほどそれ以上の速度で大きく育つ苦悩。
その正体は

それでもオレの給料は家計をぜんっぜん支えていない

ということだ。

どうやら嫁はオレの給料をそっくりそのまま貯金しているっぽい。
そして相変わらず自分の収入で夫婦の生活をまかなっている。
もちろんオレは自分の給料の使い道に対して嫁にとやかく言う資格なんてない。
全部洋服やなんか好きなことに使ってくれても構わないと思っているのだ。
その金を必要としてくれているのなら。

だが現在、オレの給料は完全に補助的な副収入扱いだ。
ここではオレのスーパープラス思考は目を覚まさない。
こんな現状が非常にいらだたしい。
それでも今、嫁が仕事を辞めたらそれはそれで困るな、などと考えてしまう。

今の嫁の収入を上回ったとき、オレは本当に一家の主となれる。
一体いつのことなのだろうか・・・・・・。

続く...


今日の一言

友達は「無理」って言います。



幸か不幸か
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