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帰国

〜 アルバイト 〜



その話がオレの耳に入ったのは仕事中で客先に出かける道中であった。
営業のTさんはこう言った。

T:「開発の会社をしている先輩が人手が足りなくて困ってるんだ。」

Tさんはオレが元々開発をしていたことなど知らない。
開発者の知り合いと今でもよく飲んでることも知らない。
話の流れでたまたま出てきた話題なのだ。

オレの目がキラリと光る。

すかさずこう言ってみた。

オレ:「個人で請け負っていいなら僕やりましょうか?」

もちろんかなり冗談っぽくだ。
普通、会社が開発をするのになかなか個人には依頼しない。
社会的信用とか、支払いの問題とか色々あるからだ。
さらにオレは定職についているため時間の融通が利かない。
打ち合わせなども全て会社が終わった定時後になるのだ。
普通は到底実現しない話なのだ。

だが、この話は偶然にも冗談で終わらなかった。
Tさんはすかさず先輩に連絡。
なんと社長であるその先輩はまんざらではないみたいなのだ。
大きな会社ではないので社長がいいと言えばこれは実現するかもしれない。
とりあえずオレはあらゆるリスクを頭の中で並べてみた。
気持ちが舞い上がって大きなリスクに気付いていない可能性があるからだ。

まず、もちろんだが勤務している会社にばれるわけにはいかない。
これは完全にアルバイトみたいなものだ。
ばれたらどうなるか、クビ?それはわからない。
さらに請け負った開発が赤字になる可能性がある。
思ったより案件が難しかったり、金額を値切られたときのリスク。
開発が終わった後のバグなどのアフターフォローもしなくてはならない。
さらには今、オレが取締役になろうとしている会社に支障はないか。
このあたりが気にかかってきた。

勤務している会社、ここには絶対に言えない。
このリスクは背負うしかない。
だが、取締役になろうとしている会社。
これは別にいいんじゃないか?
バイトしないなんて契約もないし。
オレは早速下調べを始めた。
まずその会社を設立するメンバーに電話して。

オレ:「バイトで開発しようと思ってるんですが。」


ぶっちゃけた。


個人で受けるの?
なんかブローカーみたいだね。
などなどの発言から察するに。
やはりあちらはあまりいいイメージを持っていないようだ。
だが引きとめはしない。
これはやはり特にNGではないということだろう。
ただ一つ。
うちの社員達は巻き込まないで、と釘は刺された。
オレのアルバイトが軌道に乗って社員達を引き連れて独立。
このような筋書きを恐れてのことかもしれない。
まあオレもそんな倫理を欠いた行動はできないので当然そこは了承した。
協力者は別のところから探すしかないな。


その他のリスクはまだ解決していない。
だが、オレは今回リスクを背負って受けてやろうかと思っている。
その理由としてまず単純に面白そうだから。
久しぶりに開発を、それも気の会う仲間とできる。
ただ楽しくやるだけでなく、採算をとるためにお互いが熱い意見を交わす。
このようなことが純粋に楽しそうだということだ。
さらに、一歩踏み出すことで何かが始まる気がする。
意外な人脈や仕事に繋がるかもしれない。
待っていては何も起こりはしない。

オレは20歳のときに携帯を持ち始めてもう10年近くなる。
その間、非通知や知らない番号からの着信にも必ず電話に出てきた。
そして携帯番号は一度も変更したことがない。
昔ながらの090−3××から始まる番号だ。(当時は030−××)
それもこれも全て何かが起こるかもしれない、という精神から来る行動だ。
古い知人からの連絡、間違い電話。
そういったものが自分の人生に大きな変化を与える可能性もあるのだ。
まあ、その・・・。

電話に関しては一度もいいことはなかったけど。

闇金融とかホントの間違い電話ばっかり。
間違い電話を装った詐欺なんかもあるかもしれない。
電話に関してはリスクのほうが大きいから辞めたほうがいいかも・・・。
まあ基本的にそういう精神を持っている、と言いたかったわけで。
それには多少のリスクは付き物だ。
いいものと悪いものを自分の目で見分ける必要があるのだ。
これを間違えると痛い目に会う。

今回の話でも同じことが言えるわけだ。
これから金額や条件面の話を詰める。
オレがそれをどう見分けるか、その眼力によって吉とも凶とも出るのだ。
実際に受注するかどうかはその後の話。
さぁ、何が出てくるのかこないのか。

続く...


今日の一言

もちろん収入は全て小遣い

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