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帰国

〜 アルバイト続報 〜



仕事後、オレは例の開発案件の詳細を聞きに行った。
そこには社長とシステム部の人が来ていた。
軽く挨拶をすませると早速案件の話が始まる。
ここでオレは少しビックリした。
もちろん案件の話を聞きに来たのは確かだ。
だが、こんな一個人に仕事を頼むなんてことはあまりないことである。
だからまず、こちらの信用を得なければならぬ。
そう思って色んな口説き文句を考えてきていたのだ。

だけどこれって・・・。
もうオレに頼むのは決まっているかのような話の進み方。
それほど困っているという事情もあるのだろう。
だが、それだけではこんなにもスムーズに話は進まない。
どうやら営業のTさんがここの社長と長い付き合いだというのがポイントみたいだ。
やはり紹介は強い。
転職の時にも経験したが結局人間が決め手、ということか。

仕事内容は詳細設計から開発、テストまで。
SEとプログラマを兼ねることになる。
その仕事を人月単価50万で受注しそうな展開である。
さらに、実はオレのSE業務はこれが初めてなのだ。
似たようなことはやってきたが、まともにやるのは初めて。
さらに言語はVB.NET。

初めてづくし。

だが、ここで受けないわけにはいかない。
何かこう、今回の受注が大きなきっかけになりそうな気がする。
多少無理してでもここは乗り切らなければ。
オレはもう一人、以前の会社で知り合ったOさんに助けを求めた。
OさんはVB経験者でキャバクラ好きだ。
何人か候補者はいたのだが。
一番最近、一緒にキャバクラに行ったOさんでいくことにした。
けっきょく世の中は人脈、酒、接待で動いていってるのなぁ。
そんなことも少し考えてみたりした。
まあ無事に受注、完成できることを祈っておこう。


それからもう一つ。
今回の件でオレは考えさせられた。
なぜ、Tさんの知り合いの会社の仕事がオレに回ってきたのか。
その答えはただ一つ。

オレの会社が開発会社ではないからだ。

今の会社で開発ができる人は殆どいない。
そんな場所で自分が成長できるのか、そんな悩みを抱えたこともある。
でもだからこそ、この会社においてオレには希少価値が生まれた。
オレでなければできない仕事なのだ。
逆に開発会社であれば今回の話がオレの元に来ることはまずなかっただろう。
周りを見渡せば頼める人はいくらでもいるからだ。

そうか。
そういうことか。
オレは何か小さなヒントをつかんだ気がする。
開発スキルは結局誰のためのものか。
それは開発を必要とする他の業界の人たちのためのものなのだ。
オレの開発スキルなど海千山千のこの業界ではまだまだだと思う。
しかし開発現場を離れた今。
オレの開発スキルは比較的光って見えるのだ。

昼間の空に星は見えない。
星はそこにないのだろうか?
否、星はある。
ただ太陽のせいで目に見えないだけなのだ。
その証拠に太陽が沈んで夜になれば、ほれ。
星が見えるじゃないか。

まだ頭の中でぼんやりとしていて考えはまとまらない。
でもこの視点を持ち続ければこれはこれで面白いことになりそうだ。

続く...


今日の一言

太陽になれたら一番いいんだけどね

リーダーって何すんの?
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