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帰国

〜 いつまで続く、リーダー論 〜



さて、前回からの主題であるリーダー論について書いてみる。
会社の社長、グループリーダー、サッカーの監督。
リーダーも色々あるがそれら管理職と呼ばれるものの目的は一つ。
人を効率的に動かすということだ。
人を管理するということに対しての技術が必要なのだ。
例をあげて考えてみよう。
これはソニーの社長が引退するときのインタビューからヒントを得た。

あるプロジェクトを管理しているとしよう。
かなり難度の高い仕事がある。
ある程度簡単な仕事がある。
誰でもできるような仕事もある。
人手が足りないので自分もどれかをやらなければならない。
もちろんリーダーである自分が一番仕事はできる。
のような難度の高い仕事は部下には厳しいかもしれない。

さて、この状況でいいリーダーはどうするか。
もちろんケースによるので答えは一つではない。
が、一般的に言われるいいリーダーはを自分で担当する。
そしての仕事は部下に割り振るのだ。
難度の高い仕事を達成する喜びは自分が奪ってはいけないのだ。
あくまでおいしいところは部下に譲る。
そして部下がその仕事を達成できるようにさりげなく協力する。
これもあくまでさりげなく、部下が自分で解決したと感じる程度に。
そしてその仕事を達成した部下に
「お前、すごいじゃないか。」
と激励してやるのが優れたリーダーというものらしい。

ソニーの社長が引退するとき。
社内にはかつてから噂があった。
それはプレーステーションを生み出した久夛良木(クタラギ)氏のことだ。
ソニーのドル箱を生んだ彼が次期社長になるのではないか、というものだった。
彼は周りにそう思わせるだけの発想、実力、実績を持っていたのだ。
しかし、意外にも彼は社長に選ばれなかった。
それどころか降格とさえ思われる人事だったようだ。

前社長いわく
「彼は自分でやってしまうから。」
ということらしい。
社長は自分でやってはいけない。
自分が手を出したい仕事をぐっとこらえて部下がやるのを待つ。
そこに楽しみを見出せるかどうかだよ。
と、こんな意味のことを言っていた。
英雄的行動を自分で取りたがる人はリーダーにはなれないらしい。


今は亡き母はオレを一流のリーダーとして育てたかったようだ。
常にオレにトップに立つための方法論を教えてきた気がする。
自分が成しえなかった夢を子供に託していたのかもしれない。
当時はそれがとても嫌で母に反抗する一つの原因にもなっていた。
人を操る、ということがとてもおこがましく、裏表のある行為に思えたからだ。
例えば母の教えの一つにこういったものがある。

人は誉めて動かせ

あれだけオレに説教かましたくせによくもこんなことが言えたもんだ。
息子を長さ1メートルのたくあんで殴りつけた親の言葉とは思えん。
まあその話はいいとして、誉め方にはいくつかポイントがあると言う。
まず、長所を誉める。
嘘はいかん、ということだ。
嘘で人を誉めてもそれはなんの効果もない。
ただのご機嫌取りにしかならないのだ。
どんな人にでも必ず長所はある。
そこを頑張って見つけて誉めろ、というものだ。
それだけではない。
誉めるときは本人のいない場所で誉める。
これが重要らしい。
人はどのように誉められると一番うれしいか。
「君は良くできるね。」
と直接誉められた時ではない。
「あの人が君は良くできる、と言ってたよ。」
と人づてに聞いたときなのだ。
第三者が絡むことでその言葉にはぐっと現実味が増す。
この心理を巧みに活用しろ、ということなのである。

オレが母の教育に反発する気持ちが少しはわかってもらえるだろうか。
効果的に人を動かすリーダー。
すなわちいいリーダーになるには常にこんな感じで電卓をはじかなければならない。
そうなると友人、知人との付き合いも偽者になる気がした。

だが。
オレもあの頃より歳を取った。
他人に行動を促すという目的がある以上スムーズにそれが進むに越したことはない。
今は母の言っていたことがもう少し素直に受け取れそうな気がする。
実際にそういう目で世の中を見てみると。
褒めて動かす、という行為は動かされる側の気持ちを和らげるのだ。

代表的な例はトイレである。
特に男子トイレはすぐに便器が汚れる。
そこで、よくこんな張り紙を見つけるのだ。

トイレはきれいに使いましょう

まあ効果はないだろう。
まずもってゼロだろう。
あまりにも高圧的だし命令とさえ取れる。
この張り紙の裏の意味を読み取ると

いつもいつも汚しやがってこの野郎!

という罵声さえ聞こえてきそうだ。
これでは人は動いてくれない。
この張り紙自体にションベンひっかけられる可能性すらある。
ここで褒めて動かす、という発想が効果的なのだ。
それを理解しているところではこんな張り紙が張られる。

いつもきれいに使って頂いてありがとうございます

なんと感謝されてしまった。
別にきれいに使った記憶がない人でもこれなら悪い気はしない。
ついつい汚さないように気をつけよう、となるだろう。

この方法はいたるところに応用できるようだ。
例えばどうしてもウマが合わない人と上手に付き合う方法。
これはよく言われることだがまず相手を好きになること。
どんなに少なくてもいいところを見つけて好きになる。
自分に好意を持つ人を嫌いになる人ってそんなにいないものだ。
自然と向こうの態度も柔らかく、思いやりのあるものになる、らしい。


もちろんこれらのリーダー的な行動を今のオレはできてない。
これから徐々に母の教えと共に思い出し、意識していこう。
今日の教訓。

・自分でやらない
・褒めて動かす

続く...


今日の一言

でも自分でやりたいのが技術者・・・

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