いよいよオレの評価がなされる日。 午後3時頃、部長に会議室に来るように呼ばれた。 会議室に入り、椅子に座る。 向かいには部長と本部長が座っている。 そしてまずは世間話。 緊張するオレとは逆に実になごやかな雰囲気だ。 なんかおかしいな。 そんな印象を受けてはいたが、もともと今回はあきらめていたのだ。 とにかく早く本題に入ってすっきりしたかった。 そしてまずは会社の評価システムの説明だ。 目の前の紙にはいくつかの評価項目が挙げられている。 「技術情報の提供を××件以上したか」 とか 「TOEIC600点以上」 などなど。 そしてそれぞれの項目に対して5段階評価がなされる。 最後に各項目の重要度を考慮して最終的に総合評価を5段階でつける。 全ての評価は3以上で目標達成となる。 さらに貢献度合いが高ければ4や5がつくということらしい。 それらの評価と年俸の相関関係も聞いた。 3であれば多少の年報UPが見込まれるとのこと。 逆に1や2であれば減俸もありうる。 4や5なら大幅なUPもあるらしい。 なるほど。 ここまで聞いてからようやくオレの評価が始まった。 すると、本部長はおもむろに下書きのような紙を覗き込む。 そしてオレの了解などお構い無しという感じでしゃべり始めた。 本部長:「君は入社して半年だが本当によくやってくれた。」 本部長:「この項目は3をあげよう。」 オレ:「ありがとうございます。」 本部長:「これも3。で、これも3と。」 そこで本部長、下書きを見ていう。 本部長:「あ、違う!これは4だ。」 ?? 本部長:「そしてこれが3、これが3、そしてこれが4。」 本部長:「これをこの計算式に入れると、君の前年度の評価は3.5だ。」 本部長:「入社したてで3.5は普通ありえないよ?」 ・・・・。 ・・・・・・何か。 何か仕組まれてる気がする。 総合を3.5にするということを決めてから各項目の評価決めたんじゃないの? まあ、今回はもめるつもりもないし、よしとするか。 オレは文句も言わず、その評価シートにサインをした。 さらにここで意外なことを知る。 今日の評価面談はここまでらしい。 オレの年俸はその評価を受け取った人事部が決定するということなのだ。 さらにさらに。 会社の業績から言うと今回の昇給率は平均で2%。 700万だったら14万だ。 あくまで平均だから周りの評価が高ければ相対的に昇給率は低くなる。 恐らく減りはしないが微増、という結果に落ち着くだろうな。 まあもちろん大きな不満はない。 転職してよかったとも思っている。 だけど、長い目で見るとここにはオレの幸せはないと思った。 なぜならオレは常に挑戦、向上し続けることでモチベーションを維持する。 そしてこの会社には仕事よりどちらかというと収入を求めて入社した。 だからこの会社においてオレのモチベーションは収入が向上しなければ保てない。 いくら生活にゆとりが出てきても現状維持というのは体が受け付けないのだ。 困難であっても飽くなき挑戦を求めだしている自分に気付くのだ。 やはりそう長くないな。 じゃあ辞めるのか? 辞めてどうする?また転職か? 外資系で比較的高収入を得た者の転職先。 それは多くの場合、外資系企業に落ち着くらしい。 転職で収入を落としたくない、という気持ちだろう。 そしてそのまま外資系を渡り歩くようになる。 それはあまりしたくないな。 オレの美学に反する行為だ。 同じような会社に行くのなら今の会社で結果を出していきたい。 となると次はやはり、起業という道に限定されるのか。 そろそろ本当に真剣に考えなくてはいけない。 最近のオレの意識が変化している。 前は知識を深める方向にしか頭が働かなかったオレである。 ところが最近は視野を広げる方向にも働き出し、バランスを取ろうとしている。 そういう時期が来たということなのか? 次章より「起業準備編」がスタートする。 続く... 今日の一言 おいおい、ホントに大丈夫か? |