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起業準備

〜 転職、再び 〜



もう12月だ。
オレは以前、年内に自分の次のアクションを決めると書いた。
海外に在住するとか、フリーになるとか、いくつかの選択肢を検討していたのだ。
そして、とうとう決断した。

取締役を兼任しているI社に入社(?)する。

すでに役員なので、入社とは言わないのかもしれない。
ただ、今までのように別の会社に勤務しつつ、こちらにも参加するのではない。
現在の会社を完全に退社してI社一本に集中することを決めたのだ。
I社の規模はもちろん小さい。
まだまだ零細企業と言ってもいいだろう。
給料も、もちろん下がる。

じゃあなぜ、オレはこの決断をしたのか。
理由は色々ある。
まず、オレに与えられた当面の仕事がないこと。
つまりオレもI社も、オレが入ってから何をするのか決めていないのだ。
自分が何をやりたいか、会社は今何をすべきかということを一緒に考えられる。
会社の意思決定に参加できるということだ。
そして、自分の想像力を殺さずにいられる。

どういうことか。
今は日々の業務に追われ、目の前の業務を遂行することに一生懸命になっている。
自分の作業を効率化しようとはするが、新しい試みを生み出そうという工夫はない。
そんなことをしたら自分の仕事量が増えるのは目に見えている。
そして、それをこなす余裕がないのは明らかだからだ。

オレは別に怠けたいわけではない。
もう少しゆったりした落ち着きの中で、自分の気付きや閃きを待つ。
そして、何か面白いアイデアができたときには、それに全力を尽くしたいのだ。
それがプログラムを組むことじゃなくたって構わない。
会社に新しい評価制度を導入するとか、新しい顧客を作るアイデアを出すとか。
そういうクリエイティブな活動を行っていたいのだ。

その中でも、もちろん一番の希望は自分の技術を生かした活動をすることだ。
しばらく開発者としての活動は休みがちだったオレだが。
いよいよプログラマ復活の時が来たのかもしれない。


オレは過去の進行状況を読み返した。
長く続いていたこの「起業準備編」。
最初にこんな言葉を引用した。

「起業すると決めてから2年待て。」

計らずも、あれから1年半くらい経った。
退職の準備などしていたら大体2年くらいになる。
そういう意味でも、オレは今回の決断には運命めいたものを感じている。
だが、当時の決意とは異なる点が一つあることに気付くだろう。
それは、これは起業ではないということだ。
もちろんだが、オレはI社のオーナーではない。

なぜ自分で起業しないのか。
知識も経験もなく難しいということもあるだろう。
でも一番大きな理由は、I社には気心の知れた技術者達が数多くいるということ。
これこそがオレがI社を選んだ一番大きな理由なのだ。

オレは今まで色んなことを一人でやってきた。
勉強なんかもそうだし、音楽でもそうだ。
バンドこそ組んでいたが、基本的に作詞作曲はオレが担当した。
人に任せた曲は、どうしても好きになれなかったのだ。
あらゆる大事な決断、退学や結婚、就職に至るまで、ほとんど一人で決めてきた。

それがオレの性格なのだし、それも大事なことだと思っている。
しかし、そういう人生だからこそ、オレは自分の力のちっぽけさを学べた。
信頼できる仲間を持つことの大切さを痛感した。
もちろん信頼できる仲間を持つことは簡単なことではない。
だが、簡単ではないからこそ、頑張って探さなければならなかったのだ。
中途半端に器用だったから、一人でできるだろうという安易な決断に逃げていたのだ。

今までもたくさんの失敗をしてきたオレである。
だから今回の決断も、一般的に見て成功と言えるものになるかどうかはわからない。
だけど、それでいいのだ。
とにかく今、行動を起こしたい。
そう思って行動を起こした時点で、オレはある種の成功を収めている。
それくらいに清々しい気分になれるのだ。
結果として失敗に終わったとしても、この清々しさはもうオレのものだ。
後悔などするはずがない。

続く...


今日の一言

さ、会社辞めるって言お〜っと。

会社、辞めます
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