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起業準備

〜 150人漫談(本番編) 〜



今日は朝から東京へ移動して午後にはセミナーで喋らなければならない。
多少の緊張感を胸に東京への新幹線に乗る。
どこだ?
オレのプレゼンテーションのどこでウケを狙えばいい?
ここか?
うん、ここが面白そうだ。
オレはいくつか笑いを取れそうなポイントを探しつつ、一人ニンマリとしていた。

しかし、完全におふざけモードになってしまってはいけない。
お客さんも仕事の合間に時間を作ってセミナーに来るのだ。
それ相応の価値のある話題は提供しなければいけない。
押さえるべきポイントは押さえつつ、随所で笑いをかっさらう。
それがオレの理想形なのだ。

妄想に浸りつつ、正午近くに新幹線は品川に到着した。
とりあえず昼飯だ。
久しぶりに吉野家に入ったら「牛鮭定食」が「豚鮭定食」になってた。
色んなとこで適当なオレも、意外とBSE問題には敏感だからちょうど良かった。
なんたって脳みそがスポンジだからな。
しっかり焼いて食っても死んじまうんだからな。
んな恐ろしいもん食えねぇって。
じゃあなんで吉野家なんか入ったんだ?
その辺がオレの適当なところだ。
よし、この調子でセミナーでも適当にボケて笑い取るか。

飯を食い終わったオレ。
いよいよ会場について出番まで待機だ。
会場のキャパは150人。
しかしどうやら席が全部埋まることはなさそうな感じである。
当日はいくつかのセッションに分かれており、みんな興味のあるセッションはそれぞれ違うのだ。
みんな自分の希望のセッションが終わったら帰ってしまうのだろう。
結果、会場には常時50人程度がいる感じになっている。
まあいいだろう。
50人に笑ってもらえたら、それでもう十分。

オレは会場の最後尾から会場内を眺め、またもや妄想に浸り始めた。
オレの話がウケているところを想像しているのだ。
いや、話だけではない。
一挙手一投足、その全てが聴衆たちのツボにはまり大爆笑を誘う。
オレはいつもこんな妄想を食べて生きているのだ。
この観客達を妄想どおりに笑わせられそうな気がしてくる。

ん?
ここで違和感を感じる。
ある違和感・・・ていうか・・・。

なんか白髪混じりなんですけど。

観客達の後姿が。
いや、中には白髪メインで黒髪混じりの人もいる。
いやいや、どちらかというとそんな人の方が多いんじゃ・・・。
なんだ?
よく見たらジイサンばっかじゃねぇの!
どういう集客方法したらこうなるんだよ。

またやっちまったようだな。
そう、ツールを売る会社の悲しい性だ。
こういうセミナーって、製品説明会という形式じゃ人が全然集まらないのだ。
単なるこちらの宣伝活動でしかないから。
だからツールを売る会社はある手段を取る。
それは一見、ツールの宣伝とは関係のなさそうな話題。
今、旬となっている業界の話題をテーマに持ち上げるのだ。
例えば今だったら「Winnyによる情報漏えいを防ぐ!」とかそんな感じだ。
だが、そういうみんなが知りたがるセッションは最初の一部だけ。
後は徐々に、そのテーマに関連ありそうな製品の話にすり替えるのだ。
結局後半は最初にあげたテーマなんて関係あるのかどうかもはっきりしない。
単なる製品の宣伝をしてしまうのだ。

で、今回選んだテーマがどうやら、かなりジイサン向けだったようだ。
企業の部長クラスが興味を持つような話題をテーマにしちまった。
こんな人たちにツールの説明なんかしても何の興味もないに決まってる。
まあしょうがない、とことん笑いを取って機嫌よく帰ってもらうことにしよう。

さて、そうこうしているうちにオレの出番。
オレは堂々と壇上に立った。
まあ、実を言うとけっこう緊張してたんだけど。
これくらいの緊張感があるほうが、笑いを取ったときの喜びも大きいってもんだ。
そしてオレは、非常にバランスの良い笑いをちりばめ始めたのだ。
実は新幹線の中でかなり練りに練っていたのだが。
そんな素振りを見せることもなく、あくまでアドリブっぽく振舞う。
さぁ、ついて来い。

皆のもの、オレに乗り遅れるな!


・・・。


・・・・・・やっぱり・・・・・。



ジイサン達、全然ついてこねー!!!!!



まるっきりウケないんですけど!!



クスリともしないんですけど!!!



用意していたウケを狙うポイントは半分くらい言わなかった。
なんか途中から頭まっ白になってたし・・・。
オレはセミナーを終え、その足でトボトボと京都に帰った。

続く...


今日の一言

会場の弁当3つ持って帰ってやった

スマイル
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