「オレは健康に気など使わない。 体に悪かろうが美味いと思ったものを喰う。 たくさん喰う。 体を悪くして早死にしようが自分の命など自分の好きにさせて欲しい。 好きなものも喰えない人生を何十年も繰り返してだ。 その結果寿命が5年ぽっち長くなろうが何にも嬉しくない。」 オレは確かに、以前はこう思っていた。 しかし、実際に何人かの身近な存在の死を目の当たりにしたのだ。 それによりオレの価値観は若干の変化を起こした。 死んでいった人たちが喉から手が出るほど欲しかった健康をオレは偶然手にしている。 それをあまり粗末に扱うことはいかがなものか。 オレももう一人ではないし。 これからは色んなところで節制しなければならない。 なぜこんなことをあらためて考えたのか。 それは先日入った半日人間ドッグの結果が送られてきたからだ。 結果はまあ全体的に良好。 ただ一つ。 尿酸値だけが高かった。 その横に飲みすぎですと書いてあった。 ああ、やっぱりか。 オレは1日に大体1リットルのビールを飲む。 それが毎日の日課であり、オレの楽しみだ。 そして飲み会などが入った日はそれ以上に飲む。 それがオレにとっての最高の娯楽だ。 そのツケが体に蓄積していってるのだろうか。 まあ、ちょっとは気をつけた方がいいのかもな。 その程度だ。 オレの認識は最初ホントにその程度だったのだ。 だが、先日あるテレビ番組を見た。 普段テレビは見ないが、たまたま夕食の時間に目に入った番組だ。 それは芸能人が人間ドッグに入り、不健康な人間を吊るし上げるような番組だった。 血圧の高い人ベスト3、とかそんな感じだったと思う。 その番組を見るともなしに眺めていた。 すると印象的な言葉がオレの耳に入る。 そう、尿酸値だ。 テレビに目をやると、にしきのあきらが吊るされていた。 尿酸値が高く、痛風になる恐れがあるとのこと。 尿酸値は一般に7.0以上あると高いとみなされるらしい。 それに対してにしきのあきらは8.3もあったのだ。 これは結構な危険信号らしいのだ。 へー、そうなんだ。 そういえばオレも尿酸値高かったよな。 痛風になるのも嫌だし、今よりも増えないようにしなくてはな。 そう思って健康診断の結果を再度引っ張り出してみた。 オレの尿酸値。 8.6 え? これってちょっと高いんじゃないの? ていうかよ。 にしきの超えてんじゃんかよ! え?そういうこと? ちょっとヤバめってこと? 3ヵ月後に再検査っていうのもそういう意味なの?! なんかあまりにも軽く受け止めてたんだけど。 オレはあせって会社の人に聞き込みをした。 尿酸値8.6というものがどういうものなのかと。 するとそれは「いつ痛風になってもおかしくない数値」らしい。 いやだ。 痛いのは嫌だ。 痛い思いするのなら少しくらい酒も我慢する。 オレ、30歳。 とうとう自発的に健康を意識する歳になった。 昨日は本当に久しぶりに一滴も飲まずに眠りについた。 続く... 今日の一言 知らんかった、意外と眠れるもんだな |