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確定!続・大阪物語(第2部)

〜 バミューダ 〜



オレが今取り組んでいる仕事は3月末までに仕上げる予定だ。
しかし現時点(3月7日)でデータベースの設計を見直したりしている。
普通はこんなことはありえない。
ありえないのだが既にデタラメな設計でどうにか動いているシステムなのだ。
だから一切手を加えず人件費をガンガンかければ大赤字ながら運用はできる。
それを出来る限りお金がかからないようにシステムを見直し、簡素化しようというのだ。
要するに出来なければ出来ないでそれもあり?という甘えが生じるのだろう。
このプロジェクトの設計担当のシニアSEの方(以下Sさん)はぶっちゃけていうと仕事をしていなかった。

それはオレにとって非常にまずい状況だったのだ。
4月以降ここに残るつもりは一切なかった(思惑は外れたが)からだ。
仕事を延長させるわけにはいかない。
そこでオレは11月くらいからずっと言い続けたのだ。
そろそろ真剣に取り組まないとマズイ、既に間に合わないかもしれない、と。
それでもSさんはのんびりとしていた。
それはもうの〜んびりとしていた、うらやましいくらいに。

そんな折、プロジェクトから抜けていく人の送別会に行ったのだ。
普段の仕事の不満はそこそこあるが、それはそれ、酒の場ではおおはしゃぎのオレである。
恐らく毎日の仕事で見るどの瞬間よりもオレは輝いていたのだろう。
Sさんの(細い)目が光る。
「君、面白いね。また飲みに行こうか。」

それから2,3回、Sさんとオレ、そしてなぜか前回紹介した森君とで飲みに行った。
森君はやはり人徳者だ、オレもSさんもつい誘いたくなる。
樫原君はというと・・・どうもやんわりとSさんに避けられているようだ。
Sさんは樫原君が帰るまで微動だにしない。
不動明王のように席で静止している。
そして、樫原君が帰ったらしばらくして
「じゃあ行こうか」
と来るのだ。
これはオレが深読みしすぎているだけかもしれない。
しかし念のためオレもあえて樫原君を誘うのは避けてしまうのだ。

Sさんはコンピュータの知識、特にハード面に非常に詳しい。
酒の席はたいていくだらない世間話が一通り終わるとコンピュータの話に入る。
過去にどんなPCを作ったか、苦労したところは、などだ。
オレも森君も興味があるからつい熱く語り合ってしまうのだ。
酔いが回ってオレの舌が回らなくなってきた頃、お開きになる。

そういうことが何度か繰り返されると、Sさんの仕事振りが変わってきた。
明らかに今までとは違う。
あのSさんが頭を抱えて仕様を考えたりしているのだ。
もともと優秀なSEであったと思われるSさんが本気になりだすと怖い。
次々にシステムの修正案を持ってきてその大半は非常に的を得ている。
ただ、その分仕事は増えていくのだけど・・・・。
オレは思った。
ああ、Sさんは飲みに行くとがんばる人なんだ(いいの?それ)。

そして次々と修正案が出され、その分仕事が増えていく。
これが3月になってまでデータベースの見直しをしている原因だ。
普段は残業しないオレが珍しく残業しながら少しずつ仕上げていく。
そんなある日、Sさんから誘いがあった。
「次の水曜日飲みに行かないか?」
なぜ水曜日?!いつもは週末なのに
と思ったがそれでまたSさんが力を発揮してくれるのなら、とオレは森君を誘った。

酒が入ると明日の仕事なんて忘れてしまうオレ。
ビールを3ジョッキくらい飲んだ後、次々に熱燗を飲み干した。
その日もまた、楽しい夜であった。
しかし明日の仕事を心配し、森君がこの辺にしといたほうがいいと言う。
オレは冷静な森君に感心し同意した。
もう既に飲みすぎてはいたけれど。
もう一軒行こう、となぜかノリノリのSさんをなだめてオレたちは岐路についた。

・・・・木曜日の朝。
こんなに布団から出るのがつらい日は久しぶりだ。
2年前なら何も気にせず昼まで寝れたろうに。
そんなことを思いながら布団から這い出た。
仕事をしているものにとって月曜日とか遊んだ次の日に遅刻や休みを取るのはよくない。
自己管理が出来ていない証拠だからだ。
血の気の引いた顔で(酔うとこうなる)出社した。
そこには血の気の引いた顔の森君がいた。
目を合わせただけでお互いの体調の悪さを察することができる。
これもまた絆というものだ。
オレたちは昨日、絆のトライアングルを形成したのだ。
そしてトライアングルの最後のの頂点、血の気の引いた顔のSさんを探した。

・・・いない

おい、Sさん来てないぞ、遅刻はマズイだろ。
もしかして出張か?
オレはSさんが心配で会社のサーバでSさんのスケジュールを見た。
そこにはなんと次の言葉が。
午前中、私用で休みます。

は、はめられたぁ!!

Sさんはもともと自分の休みにあわせて水曜日という平日ど真ん中に飲みに誘ったのだ。
なにが「もう一軒行こう」だ。
そりゃ、行けるわいな!

まぁオレも森君も私情を仕事に持ち込むほど子供ではない。
仕方なく仕事に入る。
そして昼過ぎ、Sさんが出社してきた。
ようやくトライアングルは少しいびつな形で完成。
気分爽快でバリバリ仕事に励むSさん。
キンキンとうるさくトライアングルを鳴らし続ける。

やめてくれSさん、二日酔いの頭に響く・・・。

続く...


今日の一言

役所に行ってたって本当ですか?



断ってまえ建前
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