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確定!続・大阪物語(第1部)

〜 伸びる人間とは 〜



今回のサブタイトル、最初は「伸びる技術者とは」だった。
だが、よくよく考えると別に技術者に限った話ではないと思い「人間」に変更した。
なぜこんなことを書いたのかといえば、今仕事先には2人の知人がいるのだ。

一人は例の樫原君だが、もう一人その樫原君と同じ会社から来ている人がいる。
森君(仮名)としておこう。
森君は樫原君と同い年くらい(25,6歳)で彼もまたオレのように全くの未経験からスタートした。
初めて社会人というものを経験しながら半年ほど仕事をしてきたのだ。
ここで簡単に二人の紹介をしておこう。

(樫原君のプロフィール)
樫原君とは以前同じ仕事をしていたから彼の特徴はよく知っている。
非常に才能豊かで自分でもそのことをよく知っており、自信家で早口
彼はもともとは法律家を目指していた(行政書士の資格有)のだが趣味が高じてプログラマへ転身。
そしてプログラマとして1年ほど仕事した後自分で有限会社を設立。
この4月からは自分の会社で何らかのシステムを販売していくつもりらしい。

(森君のプロフィール)
よく一緒に飲みに行くので彼のことも知っている。
オレと同じく音楽の道を目指していたがオレと違うのはその道に没頭していたということ。
何かに取り組むと他のものが見えなくなるくらいの努力家である。
そんな性格なので学校の勉強は中学生レベルの英語や数学もままならない。
普段はお笑いキャラだが、とにかく人から受けた恩を忘れない。

さて、オレはこの二人を見ていて思った。
伸びていく人というのはこれからあげる3つの力において合計得点が高い人ではないか、と。
勝手に選ばせてもらったその力というのは

1 能力(先天的な能力+努力)
2 発明力(物事に対する好奇心+気付く力)
3 人間力(人の心の機微がわかる+性格)

というものだ。
能力はあんまり無いが発明力と人間力においてずば抜けている、という人でも何かをなし得ると思うのだ。
それでは一つずつ、先述した2人を比較しながら見ていこう。

1の能力について
これは誰でもわかると思う。
才能があり、それを腐らせない努力をしてきたものが持つ力だ。
樫原君に関しては先天的な能力は申し分なく、努力も人並みにする。
能力総合で見るとかなりの高得点をたたき出す。
一方森君は先天的な能力は未知数な部分が多い。
誰もが通る中学校の勉強なんかをまともに通っていないからだ。
土台になる数学的な物の考え方などが身に付いていないからそこを差っ引いて考えなければならない。
それでも結構な高得点を出すだろう。
そして何よりすごいのは努力だ。
これと信じたものに注ぐ力はすごいものがある。
だが現時点ではやはり土台が無いため能力総合で見ると樫原君に大きく水をあけられている。
しかし、オレはひょっとするとこの先逆転もありうるかも、と考えている。

2の発明力について
この力で大事なものはまず気付く、ということ。
その次にそれに対して不思議に思い考える、ということだ。
例えばコップに水を入れたとしよう。
するとそのコップ越しにみる景色はなんだか歪んで見える。
少し大きく見えたりもする。
ここまでが気付く力。
そしてそれに対してなぜ?と考えて行動するのが好奇心。
水を捨てたらどうなる?上から見たら?お茶だったらどう?
ここまで疑問に対して考えられる子供は中学校の理科でレンズの授業など容易に理解できる。
自分の日常生活に密着しているからだ。
樫原君はこの発明力に対しても高得点を出す。
気付く力、好奇心、共に非常に優れているのだ。
森君はどうだろうか。
彼もまたすばらしい好奇心を持っている。
だが、悲しいかな、気付く力はイマイチだ。
本人も自覚しているようである。
誰々が髪を切った、いつもは見慣れないものがある、などということにまるで気付かない。
だがこれは癖のようなものであり、普段の心がけで変わるらしいから今後に期待したい。

3の人間力について
これが書きたかった。
人の心の機微に気付く、という力だ。
そして+性格と書いたのは気付くだけではなくそれに対して上手く対処しようとするかどうかだ。
例えばこんなこと言ったらこの人傷付くだろうな、と思っていても我慢できずに言ってしまう人。
これは機微に気付く力はあるが性格が追いついていない人。
最近は芸術家でも研究者でもこの人間力が必要になってきているように思う。
2002年ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊さんは研究予算を引っ張ってくる名人だったらしい。
おそらく人間力にも優れた人物であったのだろう。
さて、樫原君はこの人間力が弱い。
性格は悪くなく、とても寂しがり屋のいい奴なのだ。
ただ自分の早口トークを相手が聞き取れず困惑していることに気付かないのだ。
あとなまじ能力があるばかりにどうしても自分の自慢話が長くなる。
場の空気が冷え切っていることに気付かないのだ。
誰でも自分に自信があれば自慢話はしたいだろう。
だけど何度かそれをするうちに周りの雰囲気が悪くなっていくことに気付かなければいけない。
わかってくれる人はわかってくれているのだ。
だがその理解者の心が見えないためつい不安になり自己アピールをしすぎてしまう。
これから会社の代表として人と交わっていかなければならない樫原君はここで苦労するかもしれない。
では森君はどうかというと彼ははここがすばらしい。
心の機微に気付くというだけではない。
今だに過去のバイト先の上司との付き合いがあったりするらしい。
その人にお世話になったという気持ちを失わず接し続けているからだろう。
人とのつながりを非常に大切にし、常に回りに気を配る。
それに加えて彼の努力家な一面がいい具合にマッチしている。
何人かの森君に対する評価を聞いたが口を揃えたように、彼は教えてあげたくなる人、と言う。


ここまでオレが勝手に挙げた3つの力という観点で2人の比較をしてみた。
樫原君と森君、どちらがこの先伸びるのかは現時点では判断が付かない。
なぜならオレは最初に伸びる人は3つの力の合計得点が高い人、と書いた。
樫原君は人間力以外は森君をリードしているが森君はその人間力が異常に優れているのだ。
合計得点でどちらが高いかは非常に微妙なところなのだ。

オレは今、樫原君の有限会社を手伝わないかと誘われている。
樫原君は嫌いではないし自分の仕事に支障をきたさない程度なら手伝ってもいい。
しかし会社を軌道にのせようとしたら多大な労力が必要なのは自明だ。
そこまでの労力を提供する気持ちは正直なところない。
感情的な部分で言うといつか一緒に何かやりたい、と思うのはやはり森君の方なのだ。

続く...


今日の一言

進行状況というよりコラムかな、ネタ切れ?



バミューダ
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