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続・大阪物語??(第3部)

〜 人生の岐路 〜




3月末でいったん契約の切れるオレの今後のことを話すために営業の人間が来た。
派遣先の上司と話し合っている。
延長契約を結ぶときはここで
「じゃあ、あと○ヶ月延長で。」
という風に大体の話が決まる。
ただし今回のオレはもう延長しないと会社が決定しているので
「今までありがとうございました。また別の機会があればお願いします。」
という感じで終わるはずだった。

はずだった。

いや、少し予感はあったのだ。
なにせ偶然他にも何人か同じ時期に抜ける人がいるのだ。
その上オレも抜けることになったら開発人員がほとんどいなくなってしまう。
はっきり言ってそんな体制にしてしまった会社が悪い。
だが向こうも必死だ。
あとから聞いた話ではこんなことを言い出したらしい。

「今抜けられては困る。」
「少なくとも半年は延長してもらいたい。」
「それも無理だと言うのなら今後おたくの会社とは取引しない。」
「だからといって常識はずれな値段の引き上げにも応じない。」

恐らくはいろんな話の流れがあって出てきた言葉だと思う。
売り言葉に買い言葉みたいなものもあったかもしれない。
だが、この部分だけを伝え聞かされたオレにとってはただの逆切れにしか聞こえない。

オレはトラックで運送業のバイトをしていた知り合いがいた。
そいつから聞いた話だが車が接触事故にあったときなどの対処法がマニュアルとしてあったらしい。
その接触の状況がどのような、たとえ完全に自分が悪いのだとしても

まず切れろ

というものらしい。
「なにやっとんじゃこらぁ〜!!!」
これですんでしまう場合が往々にしてあるらしいのだ。
理不尽な世の中だ。
今回の向こうの言い分を聞いてふとこの話を思い出してしまった。

だってそういう契約だろ?!
あと半年もやるなんていってないじゃん!!

もうすぐオレは29歳になる。
半年の服役が終わる頃には29歳の半ばだ。
さらに心配なのは本当に半年で終わるのかどうか、ということだ。
結局仕事がうまく進んでいないから開発はズルズル先延ばしになっている。
その間、面白くも無いやっつけ仕事が回ってくる。
半年延長したところでその状況が改善しなければまた延長、という話にならないだろうか。
そんなことになってみろ。

オラ、三十路になっちまうだよ。

それはいけない。
今はいろんな仕事を通じ、いろんな人と出会い、いろんなものを吸収すべき時期だと思っている。
ここで手本も無く、いいかげんな仕事をずっとしているとあらゆる感性が鈍ってしまう気がする。
そして何より一番怖いのは
「まぁこれでも、いいかなぁ〜。」
とオレ自身がこの環境を受け入れてしまうことだ。

オレは人生の岐路には2種類あると思っている。
前者は受験や就職など明らかに岐路だと本人が感じるものだ。
それに対して本人が意識していない岐路がある。
そしてまた、本当に大事なのは後者の方だと思う。
なぜなら本人が岐路だと感じていればそれに対してある程度の努力はするからだ。
後者の岐路は恐らく10年後、20年後になってわかる。
あの時こうしていれば何かが変わったかもな、と。

どこかで聞いた話であるが90歳代の人たちにアンケートをとった。
人生で一番後悔している事はなんですか、と。
圧倒的に多かったのが
「失敗を恐れて何もしなかったこと」
という答えらしい。
恐らく後者の岐路を感じ取ることができなかった結果では無いだろうか。

そして今オレはその岐路を迎えているのではないかと感じている。
弱腰なうちの会社は、すまないがもう少し延長してもらえないかとオレに言った。
オレは今の不満、これからの自分のプランなどを説明した。
そして今の仕事はそのプランから少し外れていることも説明した。
しかしその上で派遣先の事情もわかるし、うちの立場もあるから半年は我慢する、と言った。
それでもなお、半年先にさらなる延長を突きつけてくるようならば。
そのとき、オレはここを去ることになるだろう。

続く...


今日の一言

今すぐ去れ、という意見もあります。



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