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姫路城を攻め落とせ!

以下の話は全て真実であるという証拠など何処にもない。
あなたがukkyoを通報しようなどと思わないことを信じてささげる。


あれはもう今から7,8年前のことになる。
オレがまだ大学生だったときの話である。
高校時代からの悪友2人と旅行をすることになったのだ。

そもそも3人が仲良くなったのは全員悪ノリが大好きという共通点を持つことだ。
オレたちの旅行が普通であっていいはず無いのだ。
そんな使命感から生まれた企画があった。
今でこそテレビ番組でもありきたりの企画になってしまったが当時としてはけっこう斬新な

ダーツ旅行

である。
日本地図に向かってダーツを投げ、刺さったところに行こう、というものだ。
交通手段は車のみ。

ひとまずオレの部屋でオレはたらふく酒を飲んだ。
オレは運転ができないため、せめて周りの士気を高める役目に徹しようと思ったのだ。
そして企画実行の時、オレが投げたダーツは狙い済ましたように姫路市の真上を指した。
「行こうか。」
全員、何も言わずに立ち上がるが意外と近い場所でよかったとホッとしていたのは間違いない。

出発点は京都、目指すは姫路だ。
そこに行って何があるのか?そんな意味はどうでもいい。
意味はこれからオレが作るのだ。
相当アルコールは回ってきたようである。
そもそも出発したのはもう日が変わらんとしている夜中であった。
行って何があるというわけでもないのだ。

道中、さんざん大声でわめきちらし、歌を歌い、オレたちは一直線に姫路を目指した。

悪友A:「行ったら何かがある。」
悪友B:「行ったら何かが起きる。」
オレ :「行ったら何かを起こす。」

三者三様の思いを胸に、車は大通りに出た。
通りの真正面のはるか向こう、地平線と言ってもいいだろう。
そこにはきれいにライトアップされた壮大な姫路城がオレたちを出迎えていた。
そりゃあもう大騒ぎだ。
「あそこへ行こう。」
などと野暮なことを言うものはいない。
何も言わなくとも運転手はそこに向かってアクセルを踏み込んでいたのだ。

車は姫路城の中へ、夜中でも入れるみたいだ。
車を降りたオレたちはどんどん奥へ進んでいく。
気持ちはもう戦国武将だ。
「おい、早く攻め落とそうぜ!」
的なノリでオレたちは進んでいく。

ところがだ、やはり夜中なので昼間はあいているだろう天守閣の門が閉まっている。
正に興ざめ、これではただ城の前に来ただけという感じだ。
だがその興ざめはオレから次の一言を実に自然に引っ張り出したのだ。

オレ:「オレが中から門を開けるから、それで攻め落とそう。」

やばい、書きながらも思った。
これを読んでいる全ての人へ、こんなことは絶対に考えちゃいけない。
なにしろ国宝・姫路城である。
下手したら新聞沙汰なのだ。
若気の至り、一時の気の迷い、やり場の無いエネルギーがなせる業だったのだ。

オレは塀の上まで5メートルはあろうかという石垣に足をかけ登り始めた。
身は軽いのだ。
スイスイと上ったオレは有刺鉄線を鮮やかにくぐり抜け塀の向こうに飛び降りた。
ホントは半ば冗談だったのだ。
無理に決まってる。
門のところまで行き一応閂(かんぬき)に手をかける。
しっかりと鍵がかけられてある。

オレ:「あー無理だなこりゃ。」

ホッとしながらオレは門の外側にいる友達に話しかけた。
これぐらいやっておけば友達も楽しんでくれたはずだ。
運転のできないオレの役目は果たせたように思う。
さて戻ろうか、と思った矢先。
なにやら無造作に地面に立っている黒い棒の前を横切ったその時!


ジリリリリリリリリ・・・・・・!


天守閣は2本ほどのライトが追加されさらにライトアップ!
ヤバイ!
一目散に来た道を引き返すオレ。
入るときは丁寧にくぐった有刺鉄線を大急ぎでくぐり抜ける。
そして塀の上に戻ったオレは驚愕した。
偶然かもしれないがオレの立っている場所、正にそこがライトで照らし出されていたのだ。
暗闇に丸いスポットライトで映し出されるオレの気分は正にルパン3世
いや、そんなことを考えている暇は無い、逃げなくては。

入ったときのように石垣に手と足をかけて一歩ずつ降りていたのでは遅い。
追っ手に捕まるかもしれない。
苦渋の判断を迫られたオレが選択した方法は・・・・仰向け。
石垣に背中を向け、逆四つんばいになりながら降りる。
とにかく無理やり進めるところまで進んで危なくなったら飛び降りる。
この方法は見事にHITした。
オレは5秒で石垣を駆け下り、友達と一目散に逃げていった。

バカだ。
こいつらはバカだ。
今なら間違いなくそういえる。
だが、バカな若者どもはこういう出来事に狂喜乱舞してしまうのだ。
しばらく英雄気取りのオレと悪友たちはまたもわめき、歌いながら宿を探す。
何件か断られた後、ようやく男同士でも泊まれるラブホテルを見つけた。

今日の出来事や有刺鉄線でビリビリに破れたオレの服を肴に最高の酒を飲む。
途中一人がトイレに行った隙にオレがサルの全身タイツに着替えるドッキリなどいくつかの楽しい催し(?)の後今日は眠りにつくことになった。
おっとその前に次の行き先を決めなくては、もちろんダーツで。
さて、次は何処に行くのだと投げたダーツは・・・


名古屋に刺さった。




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