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初日(後編)

〜 無知の知 〜






さてと、何が始まるのやら。
ここまで来たら後は流れに身を任せるだけ、逆に気楽だ。


するとそこに座っていた能力開発機構かなんかの人、略して能人(のうじん)が何気に立ち上がる。



能人「決まりですから。」

ん?何が?オレも立つの?

んで、仕方なく立ち上がる。
社長も立ち上がった。


え?能人が何か読み上げるみたいだぞ。


能人「それではただいまより委託訓練開始の辞をなんたらかんたら・・・・。」

おい。

能人「うんたらかんたら・・・・。」

おいって。

能人「がんばってくださいね、ハハ。(照」

オレ「はい。」



って返事しちゃったけどなんだそりゃ?!
仕事しながら横目に見てる人もいるし、めっちゃ恥ずかしいんですけど。

なにより、能人
あんたも恥ずかしそうにやるなよ。
微妙に中腰だし。


どうもこの能人が国から援助をもらっていろんな企業に失業者を紹介している。
そんな感じみたいだ。
それに甘えさせてもらったオレとしては文句を言う筋合いもないのだけれど、
なにやら、うさんくささを感じてしまったのが正直な感想である。

だって中腰なんだもの、能人。
大丈夫かな〜。

そんなオレを尻目に能人はそそくさと帰っていった。
どうやら、能人の仕事はもう終わりらしい。
何しにきたんだ、あんた。

いや、いかんいかん。
オレに大切なきっかけを与えてくれた職安
そしてその職安と今の会社をつないでくれた組織
その組織の中の、いかにもうだつの上がらないっぽいおじさん、能人

感謝しなければいけないのだろう。


後から知ったことであるが、
この雇用能力開発機構という組織。やはり職安とはまったく別の組織みたいだ。
しかもいいうわさはあまり聞かない。
だがオレがこの会社に来ることは、この組織の存在なくしてはありえなかったようだ。

そこのところの事情は社会の暗部の一面を如実に表している。
これを書いたことがもし会社の人間にでもバレようものなら自分の立場が悪くなるかもしれない。
オレもあえて危ない橋を渡る趣味はないから今後もここのことを書くかどうかは未定だ。




ま、気が向いたら書こうっと。


とにかくこれでようやく研修に入っていける。
さっそく担当の方から指示を受け、初の作業に取り掛かる。

最初の任務は忘れもしない「Windowsのインストール」だ。

1,2回やったことあるから、大丈夫かな?くらいに考えてたのだが。
まず最初の一言にびっくり。


担:「Cドライブをフォーマットして下さい。」


・・・え、わからん。

動揺するな、どうするんだっけ。そういえばフロッピーならフォーマットしたことあるな。
多分おんなじだろ。

と急いでCドライブを右クリック。
もたもたとまごついているところに追い討ちが。


担:「DOSプロンプト立ち上げてください。」

オレ:「それ・・・何ですか?」


恥を忍んで聞いた。こういうときは知ったかぶってはいかんのだ。
どうせこれから知らないことだらけだし、たくさん聞いたほうがたくさん覚えられるんだ。

心の中で独自の理論展開を繰り広げている間、担当の方に聞きながらDOSプロンプトを立ち上げる。
ああ、これのことか、知ってたよ。
名前は知んなかったけど。


・・・このころ振りまいた恥の数々は正直言ってあんまり書きたくない。
書いてるうちに今も赤面してしまってるからだ。


担:「format C:と打ち込んでください。」

オレ:「はい。」

打ち込んだ。「format C:」と。

忘れないように
ノートに「format C:」と書きながら(恥)


おお!フォーマットが始まった。こんな方法があったのか!!

その後四苦八苦しながらOSのインストールを完了。
先が思いやられる。と思ったのはおそらく担当者の方だろう。

オレのほうはといえば恥をかいてることすらあんまりわかってなかったから
まさに希望に満ち溢れていた少年のようであった。
世の中には往々にして知らないほうがうまくいくことがあるのである。

「自分はよく知らないんだ。」

ということをわかっている人間は遠慮して最初の一歩が踏み出せないことが多い。

その点でオレは周りを大きくリードしていたのかもしれない。
これからも道なき道をガンガン進んでいくのである。


続く...


今日の一言

何言ってんだ、能人



序盤戦
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